映画『マチネの終わりに』は、2019年11月1日公開され、翌2~3日の週末興行成績では、観客動員95,000人、興行収入は1億2900万円を達成し、初登場でランキング3位という好発進でした。
原作は平野啓一郎さんの同名小説で、年齢を重ねた男女が、たった三回、時間を共にし互いを誰よりも愛したという、狂おしいほどに真摯な恋の物語。
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映画『マチネの終わりに』作品情報
世界的なクラシックギタリスト・蒔野聡史は、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う。出会った瞬間から2人は惹かれあい、心を通わせる。洋子には婚約者がいることを知りながらも、想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げるのだが…。
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キャスト
- 蒔野聡史:福山雅治
- 小峰洋子:石田ゆり子
- リチャード新藤:伊勢谷友介
- 三谷早苗:桜井ユキ
- 中村奏:木南晴夏
- 小峰信子:風吹ジュン
- 是永慶子:板谷由夏
- 祖父江誠一:古谷一行
スタッフ
- 監督:西谷弘
- 原作:平野啓一郎
- 音楽:菅野祐悟
- 脚本:井上由美子
- 製作:石原隆、畠中達郎、市川南、佐渡島庸平
映画『マチネの終わりに』ネタバレあらすじ
2013年、東京のコンサートホールで、小峰洋子(石田ゆり子)はクラシックギターのコンサートに訪れていました。
友人の是永慶子(板谷由夏)がプロデュースを務めた、世界的なギタリストの蒔野聡史(福山雅治)の演奏は素晴らしく…また、その後に紹介された彼とは意外な共通点があり、するりと互いの心が近づいたのです。
それは世界的な映画監督のイェルコ・ソリッチの古い映画「幸福の硬貨」のテーマ曲です。
蒔野が好きなその曲…
ソリッチは、洋子の母の再婚相手であり、数年間一緒に暮らした義父でした。
洋子には婚約者がいましたが。
蒔野は、彼女に好意を持ちました。
その夜の出来事が、未来の二人の人生を大きく変えてしまうことになるのです。
パリのテロ事件
洋子はパリの通信社で働くジャーナリストです。
勤務していた通信社のオフィスが自爆テロの標的になり、彼女はギリギリ助かりましたが、寸前まで一緒にいた同僚が亡くなるという悲劇が起こりました。
ニュースを知り、心配した蒔野からの連絡にようやく答えた洋子は、しかし、窓の外の工事の音にも怯えるほど疲れていました。
仕事先のマドリードからパリを訪れた蒔野とデートをした洋子は明るく振舞っていましたが、そんな彼女に蒔野は言います。
「もし…洋子さんが地球の何処かで“死んだ”って聞いたら、僕も死ぬよ」
婚約者がいる、と告白した洋子でしたが、蒔野は彼女を諦められません。
そして三度目の逢瀬。
二人は東京での再会を約束しました。
嵐の東京で
洋子が東京に向かい、彼女を迎える準備を進めていた蒔野でしたが。
まさにその嵐の夜、彼の元に、師匠の祖父江が倒れたという報せが入りました。
脳出血で緊急手術になるということで、彼は急いで病院に向かいましたが、その時にタクシーにスマホを忘れてしまったのです。
蒔野のマネージャーの早苗は、一途に彼のことだけを想っていました。
そんな彼女がスマホを回収したことで、洋子とのやり取りの全てを知ってしまい、彼女は暴走します。
二人を別れさせる工作を施し、洋子を蒔野の世界から排除したのです。
そうとは知らない洋子は、彼が現れないことに違和感と、一人放り出されたことにショックを受け、失意のまま二人はすれ違っていくのでした。
4年後の二人
祖父江が亡くなり、彼の追悼のためのアルバムを企画した慶子は、その愛弟子であった蒔野にも声をかけました。
彼はもう長い間人前で演奏してこなかったのです。
復帰を決めた彼の隣には、妻として娘を産んだ早苗の姿がありました。
そして同じ頃、洋子はニューヨークで、夫のリチャードと一人息子とともに安定した暮らしをしていた筈でした。
しかし、夫は、洋子が蒔野を選ぼうとしていたことが許せず、夫婦の関係は破綻していたのです。
親権を撮ることも出来ず、洋子は離婚。
再びジャーナリストとして働き始めた彼女の前に現れたのは早苗でした。
早苗は、蒔野と洋子に、あの嵐の夜に二人の間を引き裂いたのは自分だ、と告白したのです。
映画『マチネの終わりに』ラストの結末
蒔野はその事実を知って慟哭しました。
そして洋子もまた困惑します。
しかし“偽り”を隠したままでは、蒔野自身が前に進めない、と早苗は自分のしたことを話したのです。
そして、ニューヨークのコンサートに来て欲しい、と。
それが今の夫のために最善だと、早苗は知っていたのです。
長いブランクを経て復活した彼のコンサートの客席に、洋子は座っていました。
その姿をみつけた蒔野は「マチネの終わりに…大切なひとに、特別な曲をささげたい」と語りました。
それは“幸福の硬貨”…洋子の特別な思い出の曲です。
終演後、セントラルパークに向かった蒔野は、微笑む洋子と再会しました。
彼らは漸く互いを隔てるもののない世界に辿り着いたのです。
映画『マチネの終わりに』感想
何ともドラマチックな物語の、透明な質感は、アナログの35㎜フィルムで撮影されたことによる味なのだとか。
デジタルとは異なる光や風合いが物語にマッチして、独特の世界観を構築していました。
若い男女の恋愛と違って、縛るもの、隔てるものが多い分だけ、純粋な情愛が浮かび上がっており…福山さんが「こうした長いスパンの物語の中では、幸福な時があれば、そうでない時もあり、そこに陰影のある日常と歳月が描かれているというようなことをおっしゃいました。
その思いは、観終わった時にずしりと伝わって心に残ります。
そして、素晴らしいギターの演奏!福山さん、特訓の末にクラシックギターの技法を修得したそうです。
役者さんとして、ミュージシャンとして、彼の魅力あふれる作品に仕上がっています。
さて、最後に。
この映画は、貴重なシーンを残しています。
ノートルダム大聖堂…火災によって損傷してしまった世界遺産の在りし日の姿が残された、最後の映画である可能性が高いそうです。
一見の価値あり、です。
映画『マチネの終わりに』視聴者の声
この作品は簡単に言えば大人のラブストーリーということになるでしょう。
一言でいえば上品で綺麗な話だと思いました。
パリが舞台で映像が素敵だし、主人公がクラシックのギタリストという設定で、流れる音楽も切ない感じがとても良かった。
何より中年の恋愛であるにもかかわらず、過激な描写も脂っこい感じも全くなく洗練された印象を受けました。
それはヒロインを演じた石田ゆり子さんの透明感と、大人の女性として凛とした姿によるところが大きいと思います。
役にぴったりだと思いました。
また、感情的には激しい愛でありながら実際会ったのは3回だけっていう設定ですが、物語の起承転結が実にはっきりしていて見やすい映画でした。
普通だったらいくら一目惚れで意気投合したって、3回会っただけの人のことを何年も思い続けるなんてあり得ないでしょう。
ところがこの作品を見ていても、なぜか納得してしてしまうのです。
ただ偶然や第三者の悪意によって誤解が生じ、すれ違っていったことには、どうしてそうなるの?早く誤解をといてよ!ってもどかしくなりましたが。
あの女の幼稚な意地悪がどうしても許せなくて。
ある意味気持ちは分かりますが。
結局あの女も最後は後悔したのでしょう。
ラストで誤解が解けて再会することになって良かったと思いましたが。でもその後どうなるのかな?
時間は残酷に過ぎて、前とは状況が違うので。
遠回りしたけれど幸せになるのか。
それとも・・・
私は再会する前に主人公が公演の最後に話した大切な友人云々っていうのが、答えのような気がします。
人生をちょっと振り返ってみたくなるようなしっとりした大人の映画です。【50代女性】
主演を務めた石田ゆり子さんと、そのお相手役である福山雅治さんが持つ落ち着いた大人の雰囲気が魅力的に映りました。
役柄としては、40代の大人にしてはロマンティック過ぎない?と感じるくらい、ふわふわとした考えを持っている二人なのですが、それを石田さんと福山さんが演じられる事によって仕方がないと感じさせてくれます。
美しく、芸能人として成功して長い二人が、一般人では見られないような夢を心に抱いて生きていても、大人として全くおかしく無いですよね。
主人公達は、これまであまり挫折をしてきた経験がない・若い頃に描いた憧れの職業に就いている・自身を取り囲む環境についてどこか他人事である、という共通点があるのですが、私にはその点が演じた方々にどこか被るような気がします。
役と役者さんが良い具合に混じり合った結果、この作品が成立しているのではないかと感じるほどです。
「大人の恋愛」というよりも、大人だからこそ受けなくてはいけない困難を、しっかり受け止める事の出来ない未熟な面のある大人同士の恋愛モノだと思いました。
そういう大人がいても良いと私は考えています。
人よりもカードを多く持って生まれた者に普通を求めるのは酷だと思うくらい、メインの二人は特別な人間に見えました。
しっとりとした空気が全体に漂っている、キャスト陣に心を惹かれる作品だと思います。【20代女性】
ある程度年齢を重ねた後に出会ってもなかなかすんなりいかないのかもなと思いました。
それぞれの生活もあるし、恋人がいたりするかもです。
映画の2人も出会ってすぐに惹かれあったけど、女の方には婚約者がいるし、コンサートもあるしで、すんなりいきませんでした。
でも、メールのやり取りとかをして愛なのか友情なのかを育んでいて、見ていてすごくキュンキュンしました。
ただ、映画だと時間も限られているからか、男が女のどこにそんなに惹かれたのかがよくわからなかったです。
確かにすごく綺麗な人で一目惚れってのもある話だとは思うけど、大人になってからすごくいい顔の人にあっても、その人に相手がいたら、そこまでときめかないと思います。
2人は気が合うところがあったとか、小説版だといろいろ心情が書かれているのでしょうが、映画だとわかりにくかったかなと思います。
キャスト陣はすごくよくて、福山雅治さんは孤高のギタリストぽいし、歳を重ねてこういう役ができるようになったんだなと思いました。
石田ゆり子さんはすごくかわいいし、大人ぽくもあり若い女性にはない落ち着きもあります。
2人のラブストーリーというだけで絵になるし、お話もなかなか面白くてよかったです。
音楽もクラシックギターが流れていてすごく癒された感じです。【30代女性】
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