東洋大学駅伝部のメンバーと注目選手についてまとめてみました。
鉄紺のタスキでお馴染みの東洋大学は、箱根駅伝常連の強豪校。”山の神”と呼ばれたOB・柏原竜二さんらを輩出するなど、往路に強いのが特徴ですが、箱根駅伝2021優勝のカギは復路の出来にかかっていそうです。
さて今回は、東洋大学駅伝部のメンバーに加え、注目選手4名についても紹介したと思います。
箱根駅伝2021 東洋大学区間エントリーメンバー
12月29日に区間エントリーが発表されました。
※当日変更あり(1日につき最大4名まで、往路、復路通じて最大6名まで)
【往路】
- 1区:児玉 悠輔(2) 東北高・宮城
- 2区:松山 和希(1) 学法石川高・福島
- 3区:村上 太一(1)北見緑陵高・北海道
- 4区:吉川 洋次(4) 那須拓陽高・栃木
- 5区:宮下 隼人(3) 富士河口湖高・山梨
【復路】
- 6区:九嶋 恵舜(1) 小林高・宮崎
- 7区:蝦夷森章太(3) 愛知学院愛知高・愛知
- 8区:腰塚 遥人(3) 桐生工高・群馬
- 9区:小田 太賀(4) 浜松商高・静岡
- 10区:清野 太雅(2) 喜多方高・福島
【補欠】
- 大澤 駿(4) 山形中央高・山形
- 西山 和弥(4) 東農大二高・群馬
- 野口 英希(4) 松山高・埼玉
- 久保田悠月(2) 埼玉栄高・埼玉
- 前田 義弘(2) 東洋大附牛久高・茨城
- 佐藤 真優(1) 東洋大附牛久高・茨城
箱根駅伝2021 東洋大学駅伝部注目選手
続いては、東洋大学駅伝部の注目選手4名について紹介していきましょう。
西山和弥(4年)
選手としての特徴やキャラクター
2020年の東洋大エースは、4年生の西山和弥選手です。群馬県伊勢崎市出身で、東京農業大学第二高校から東洋大学に進学しました。
高校時代から総体などで実績のあった西山和弥選手は、東洋大学入学後は1年生から箱根駅伝に出場します。初出走となった箱根駅伝2018では1区で区間1位、さらに翌年の箱根駅伝2019でも再び区間1位と、2年連続で区間賞を獲得しました。
着実に力をつけ、卒業したエース・相澤晃選手(旭化成)に次ぐ東洋大学の主力メンバーとなります。さらなる飛躍が期待された3年生でしたが、股関節の怪我により思うような走りができない苦しいシーズンとなりました。
怪我の不安を抱えたまま臨んだ箱根駅伝2020でしたが、3年連続で1区を走るも区間14位と低迷し、優勝を目指した東洋大学に勢いをつけられませんでした。
憧れの選手には、マラソン日本代表としてメダル獲得が期待されている大迫傑選手を挙げている西山和弥選手。本人から直接インタビューを受けた際には、緊張と恐縮のあまり数歩下がって受け答えするという、人柄が感じられるエピソードも残っています。
また、プライベートでは、人気アイドルグループ・乃木坂46の大ファン。西山和弥選手の推しメンは佐藤楓さんだそうで、練習がない時はイベントに行くほど、その思いは”ガチ”だそうです。
2020年の調子や状態
東洋大学が箱根駅伝2021で優勝するためには、エース・西山和弥選手の活躍が不可欠です。卒業した相澤晃選手(旭化成)のどのようにして埋めるかが東洋大学優勝のカギと考えられていますが、西山和弥選手もその点については常に考えているようです。
西山和弥選手が考える相澤晃選手の強さは、タイム以上に試合での「強さ」。エースとして東洋大学を引っ張る西山和弥選手も、今シーズンのテーマに強さを挙げています。
新型コロナの影響から練習に苦労する大学が続出しており、それは東洋大学も例外ではありません。しかし、股関節を怪我していた西山和弥選手のとって、その期間は追い風となりました。ゆっくり怪我を治し、ケアや故障に強い体作りに時間を充てたことで、コンディションは昨年から飛躍的に改善しています。
その効果は結果となり、夏合宿後の9月には日本インカレ10000m28分43秒17の好タイムで5位(日本人2位)になりました。続く10月には宮崎県長距離記録会で自己ベストを更新する10000m28分03秒94を記録。この記録が日本インカレで出てれば、西山和弥選手は全体1位になるほどでした。
先日行われた今シーズン初戦の全日本大学駅伝では、7区を任されるも区間11位となり、上位に食い込めない不安を残す結果に。しかし、その好調さは目を見張るものなので、西山和弥選手の箱根駅伝2021での走りに期待せずにはいられません。
吉川洋次(4年)
選手としての特徴やキャラクター
4年生からもう一人紹介するのは、吉川洋次選手です。栃木県那須塩原市出身の吉川洋次選手は、那須拓陽高校から東洋大学に進学しました。1年生から3大駅伝全てに出場すると、全日本大学駅伝ではアンカーを任されると区間4位となり、学年区間記録を更新する走りを見せます。
1年生で初出走となった箱根駅伝2018では、4区で起用され区間2位とこちらでも快走。2年生時は、出雲駅伝で6区を走り区間賞を獲得と、翌年になっても吉川洋次選手の勢いは止まりませんでした。
箱根駅伝2019では往路3区を任されると、区間4位になり再び監督の起用に応えます。2年生にして東洋大学の主力に成長した吉川洋次選手でしたが、3年生は怪我が大きな壁となって立ちふさがったのでした。
2年連続で出場していた出雲駅伝は欠場。さらに全日本大学駅伝も不出場となります。故障は思うように癒えず、不安を残したまま箱根駅伝2020に臨みました。不安が的中したのか、相澤晃選手(当時4年)からタスキを受けるも、3区で13位となり全体順位を3位落としてしまう悔しい結果に終わります。
2020年の調子や状態
吉川洋次選手は1000mを28分台で走れる、エース・西山と並ぶ4年生の中心選手です。3年生時の箱根駅伝2020は吉川洋次選手にとって悔しいものとなりましたが、その思いを箱根駅伝2021にぶつけると、試合後には決意を新たにしていました。
ところが、新型コロナの影響により実家に帰ることを余儀なくされた吉川洋次選手。4年生となる最後のシーズンへ向け練習したいところですが、どうにもならない時期が続きました。一旦駅伝から離れ、社会や身の回りの生活を意識するようになったことは、走ることを見つめ直す良いきっかけにもなったそうです。
10000mの自己ベストは28分53秒51、ハーフマラソンは1時間03分48秒という吉川洋次選手。順当にいけば箱根駅伝2021も東洋大学の主力としての出場が予想されますが、不安点は怪我の回復具合とコンディションでしょうか。
というのも、吉川洋次選手は全日本大学駅伝2020に不出場だったのです。新型コロナにより、今シーズンは出雲駅伝が開催中止となったことから、残すのは箱根駅伝2021のみとなります。
この流れなら、ぶっつけ本番での箱根駅伝2021、それも4年生最後の大きな大会となることから、コンディションを合わせられるかがポイントになりそうです。
宮下隼人(3年)
選手としての特徴やキャラクター
東洋大学の”山の神”は、3年生の宮下隼人選手になりそうです。東洋大OB・柏原竜二さんといった、”山の神”と呼ばれる選手を輩出してきた東洋大学。山梨県富士吉田市出身で、富士河口湖高校から入学した宮下隼人選手は、次世代の東洋大学駅伝部を担う選手の一人です。
1年生時は目立った活躍はなかったものの、2年生になると一転して東洋大学駅伝部の主力に名乗りを上げます。箱根駅伝2020では、”山登り”と呼ばれる往路5区で起用されました。OBである柏原竜二さんのビデオを見て、予習していたという宮下隼人選手。その効果は抜群だったようで、初出走ながら区間新記録で区間賞を獲得する大活躍を見せました。
宮下隼人選手は5000mは14分を切らないながらも、10000mは28分台で走ることができます。短い距離をスピードで勝負するというより、長い距離の方が強みを見せる印象です。
特に負荷の強い箱根の5区のような区間では、その力は存分に発揮されました。本番や大舞台でプレッシャーに潰されるようなこともなく、”速い”以上に”強さ”を感じさせる選手と言えるでしょう。
普段の宮下隼人選手は、理工学部工学部電気電子情報工学科所属。駅伝選手には珍しい理系ランナーで、箱根を彩るイケメン選手としても注目を集めています。
2020年の調子や状態
2020年の宮下隼人選手は好調をキープしており、箱根駅伝2021での活躍が期待できそうです。箱根駅伝2020での鮮烈な走りから、”新・山の神”とも呼ばれるようになった宮下隼人選手。しかし、得意な山登りだけでなく、今シーズンは平地での強さも目を見張るものです。
10月に開催されたトラックゲームズでは、10000m28分37秒36の自己ベストを記録。前の自己ベストが29分29秒74なので、大幅に記録を更新する成長ぶりを見せています。
新型コロナで思うように練習できない期間の間、基本に立ち返って重ねてきた地道な練習がこうした結果に結びつきました。今シーズンの宮下隼人選手の平地での強さは、全日本大学駅伝2020でも発揮されています。
アンカーで起用された宮下隼人選手は、区間4位の好走を見せました。東洋大学は6位で終わったものの、宮下隼人選手の仕上がりは好材料となったでしょう。
意識の変化は、試合の進め方にも。これまでは受け身で試合を進めてきた宮下隼人選手でしたが、今シーズンはもっと自分から仕掛けていく走りを意識して取り組んでいるそうです。
自分のペースをキープしながら、しっかり1人ずつ抜いていく。より強さを身に着けた宮下隼人選手は、再び箱根駅伝2021で山登りの5区で起用されるのでしょうか。
松山和希(1年)
選手としての特徴やキャラクター
最後は、2020年の東洋大学注目ルーキー・1年生松山和希選手を紹介します。栃木県出身の松山和希選手は、福島県の強豪・”ガクセキ”こと学法石川高校から東洋大学に入学しました。
高校3年で、すでに5000mの自己ベストは13分58秒23(5000m13分台は速い選手の目安)。高校卒業前に参加した2020年1月の全国都道府県対抗男子駅伝では、区間タイ記録となる見事な走りを披露します。この大会に参加していた当時東洋大4年・相澤晃選手は、「東洋大を背負う気持ちで走って欲しい」と、インタビューで松山和希選手にエールを送りました。
学生時代は出る大会のほとんどで区間賞を獲得してきた相澤晃選手は、松山和希選手にとっても憧れの存在。学法石川高校から東洋大という経歴も同じですが、特に尊敬しているのは、常に試合をひっくり返す勝負強さなんだそうです。
早くもエース候補と囁かれる松山和希選手の入学は、絶対的エースとして君臨してきた相澤晃選手を失った東洋大学駅伝部にとって、明るいニュースとなっています。
2020年の調子や状態
東洋大学・松山和希選手に限らず、2020年はどの大学の1年生にとっても戸惑うことばかりでしょう。新型コロナの影響により、入学式や授業といった例年のスケジュールは大幅な変更が強いられました。
ただでさえ大学生活に慣れるので精一杯な1年生にとっては、例年以上に対応が難しくなっています。東洋大学駅伝部は3月末から自宅待機となり、練習ができない時期もありました。
練習再開後、監督によれば特に目立ったのは1年生の体力といった心肺機能の低下だったそうです。上級生は経験からまだ自宅でもいくらか調整方法が分かるものの、1年生にとってはそのままマイナスに。
松山和希選手も、夏頃はスピードをつけるトレーニングに苦労したと言います。ただ、松山和希選手は右足くるぶしを怪我していたことから、自宅待機の期間をゆっくり治療に充てられ、これがプラス要素となりました。
夏合宿後は、5000m13分48秒80と、自己ベストを10秒近く更新。3大駅伝初出走となった全日本大学駅伝2020では、2区で起用され区間7位の好走を見せます。
短い期間でも成長を感じさせる松山和希選手は、東洋大学にとって期待のルーキーです。さらに、全日本大学駅伝には佐藤真優選手といった他の1年生も出場しており、箱根駅伝2021に向けていい流れで来ています。
以上、今回は東洋大学駅伝部のメンバーと注目選手についてまとめました。
まとめ
- 東洋大学は箱根駅伝で優勝4回の名門校
- 絶対的エースだった相澤晃選手が卒業した
- エースの4年生西山和弥選手はケガから回復して好調をキープ
- 主力の4年生吉川洋次選手は箱根駅伝2020の悔しさを晴らしたい
- ”山の神”3年生宮下隼人選手は、平地でも強さを見せている
- 東洋大学の1年生松山和希選手は、5000m13分48秒80と自己ベストを更新
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