新型コロナウィルス治療薬候補となっているアクテムラの効果や副作用、開発国やメーカーといった情報について調査しました。
アビガンやレムデシビルと共に、新型コロナウィルス治療薬候補に名前が挙がるアクテムラ。
その効果や副作用はどのようなものなのでしょうか。
さらに、アクテムラの開発国やメーカーといった気になる情報についても詳しく調査してまとめました。
アクテムラ(トシリズマブ)の効果と副作用
まずは、新型コロナウィルス治療薬として期待されている、アクテムラの効果や副作用から紹介していきましょう。
アクテムラはなぜ治療薬候補になったのか?
そもそもアクテムラは、なぜ新型コロナウィルス治療薬候補に名前が挙がったのでしょうか。
その理由をまとめました。
- 日本国内の研究医と臨床医からアクテムラの新型コロナウィルスへの効果に対する期待の声が大きくなる
- ノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑京大特別教授も4月に緊急提言した
- 免疫学者の平野俊夫量子科学技術研究開発機構理事長もインタビューでアクテムラの効果に期待する発言
- 海外ではロシュ社(スイス)が3月からアクテムラの臨床試験を開始している
- 日本では4月からアクテムラの国内治験が開始されている
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、日本の研究医や臨床医といった医療の専門家から、アクテムラの新型コロナウィルスに対する治療効果が期待できるという声が大きくなりました。
さらに、ノーベル医学生理学賞受賞された本庶佑京大特別教授も、4月に行った緊急提言でアクテムラの名前を挙げています。
これによれば、本庶佑京大特別教授はアビガンと共にアクテムラの実施導入を強く提言しました。
海外では、スイスのロシュ社が3月からアクテムラの臨床試験を開始しています。
こうした一連の流れを受け、日本でも4月からアクテムラの国内治験が開始されました。
アクテムラ(トシリズマブ)の効果は?
アクテムラは、抗リウマチ薬として開発されました。
そのアクテムラが新型コロナウィルス治療薬として期待されているのは、「免疫抑制効果」があるからです。
肺炎の重症化は免疫の暴走が原因?
最近の研究で明らかになって来たのは、新型コロナウィルスによる肺炎の重症化メカニズムです。
それは、本来自分の身体を守るための免疫が、暴走してしまうことによって引き起こされている可能性が判明してきました。
新型コロナウィルスは肺炎が大きく取り上げられますが、ウイルスは全身の臓器に侵入します。
嗅覚や味覚の異常についても、鼻や口に侵入したためです。
私たちの身体はウイルスが侵入すると、免疫が打ち負かすため働きます。
しかし、免疫が過剰に働き出すと、ウイルスだけでなく正常な細胞まで攻撃してしまう”暴走状態”に陥ってしまうのです。
その結果、炎症がどんどん拡大し、重症化してしまう結果となります。
新型コロナウィルス肺炎の重症化に対しては、いかに免疫の”暴走状態”を抑えるかが治療の鍵になっているそうです。
新型コロナ治療薬として期待される効果
免疫が”暴走状態”になる時、「IL6(インターロイキン)」というタンパク質が体内で過剰に分泌されます。
アクテムラは抗リウマチ薬ですが、この「IL6(インターロイキン)」の分泌を抑制する効果があるのです。
つまり、新型コロナウィルス肺炎が重症化した時に、アクテムラを投与することで、免疫の”暴走状態”を防ぐことが可能になります。
アクテムラ免疫抑制効果によって、重症化した患者を命の危険から救うことが可能になるかもしれないのです。
アクテムラ(トシリズマブ)の副作用
アクテムラの副作用については、その免疫抑制効果と密接に関係しています。
- アクテムラは免疫機能を抑制する働きがある
- 感染症にかかりやすくなる
- 炎症が分かりにくくなる
アクテムラは免疫機能を抑制するので、健康な人に投与すれば、感染症にかかりやすくなってしまいます。
また、免疫を強力に抑制することから、炎症が分かりにくくなる副作用もあるそうです。
そのため、軽い風邪だったとしても、重症化する場合もあります。
ただ新型コロナウィルス肺炎の重症化患者は、免疫が過剰に働いている暴走状態のため、むしろ正常な免疫の状態にする効果が期待されているのです。
アクテムラ(トシリズマブ)の開発国やメーカー
続いて、アクテムラの開発国やメーカーといった情報について見ていきましょう。
- アクテムラの開発国は日本
- 製造・販売は中外製薬株式会社
- 2005年に開発された
- 2009年にはヨーロッパ、2010年にはアメリカでも承認・使用される
- 最先端のバイオテクノロジー技術が使われている
- 国内では約1万名以上のリウマチ患者に投与された実績がある
- アクテムラはリウマチを根治させる薬ではない
- 抗リウマチ薬としては長期間の投与が前提となっている
アクテムラは日本の中外製薬が開発した、国産初の抗体医薬品です。
最先端のバイオテクノロジーが使われており、抗(関節)リウマチ薬として、世界で使用されています。
中外製薬はロシュ社(スイス)と2001年に戦略的アライアンスを締結しており、現在は外資傘下の国内医薬品メーカーです。
アクテムラの新型コロナウィルス使用に向けた治験に関しても、中外製薬に先駆けて親会社のロシュ社も治験を始めています。
アクテムラの免疫抑制効果が新型コロナウィルスにも有効であることが示されれば、重症化しても命の危険から守ることが可能になるのです。
そうなれば日本だけではなく、世界中が再び通常の社会生活に戻ることができるだろうと、アクテムラには大きな期待が寄せられています。
以上、今回は新型コロナウィルス治療薬候補となっているアクテムラの効果や副作用、開発国やメーカーといった情報について調査しました。
まとめ
- 医学会ではアクテムラの新型コロナウィルスへの効果を期待する声が大きい
- 新型コロナウィルス肺炎の重症化患者は免疫が過剰に働く”暴走状態”になる
- 暴走化した免疫は正常な細胞も攻撃して命の危険を脅かす
- アクテムラには免疫抑制効果があるので重症化患者を命の危険から救うことが期待されている
- アクテムラの免疫抑制効果によって感染症にかかりやすくなる副作用がある
- アクテムラの開発国は日本
- メーカーは中外製薬
- アクテムラが有効なら、世界中が通常の社会生活を取り戻せるかもしれない
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