早稲田大学駅伝部のメンバーと注目選手についてまとめてみました。
箱根駅伝通算13回を誇る早稲田大学は、数々の名ランナーを輩出してきた名門中の名門。しかし、箱根駅伝2019では予選会からの出場となり、名門復活を目指す戦いが続いています。
そこで今回は、早稲田大学駅伝部の注目選手3名と、新戦力1年生トリオについて紹介していきたいと思います。
箱根駅伝2021 早稲田大学区間エントリーメンバー
12月29日に区間エントリーが発表されました。
※当日変更あり(1日につき最大4名まで、往路、復路通じて最大6名まで)
【往路】
- 1区:辻 文哉(1) 早稲田実高・東京
- 2区:太田 直希(3) 浜松日体高・静岡
- 3区:菖蒲 敦司(1) 西京高・山口
- 4区:鈴木 創士(2) 浜松日体高・静岡
- 5区:諸冨 湧(1) 洛南高・京都
【復路】
- 6区:北村 光(1) 樹徳高・群馬
- 7区:半澤 黎斗(3) 学法石川高・福島
- 8区:千明龍之佑(3) 東農大二高・群馬
- 9区:向井 悠介(3) 小豆島中央高・香川
- 10区:室伏 祐吾(3) 早稲田実高・東京
【補欠】
- 宍倉 健浩(4) 早稲田実高・東京
- 吉田 匠(4) 洛南高・京都
- 中谷 雄飛(3) 佐久長聖高・長野
- 山口 賢助(3) 鶴丸高・鹿児島
- 井川 龍人(2) 九州学院高・熊本
- 小指 卓也(2) 学法石川高・福島
箱根駅伝2021 早稲田大学駅伝部注目選手
続いては、早稲田大学駅伝部の注目選手3名と、新戦力1年生トリオについて紹介していきましょう。
中谷雄飛(3年)
選手としての特徴やキャラクター
今シーズンの早稲田大学駅伝部のエースは、3年生の中谷雄飛選手です。長野県諏訪郡出身の中谷雄飛選手は、駅伝の強豪・佐久長聖高校から早稲田大学に進学しました。
高校時代には、3年生時の全国高校駅伝で区間賞を獲得し、佐久長聖高校の優勝に貢献。早稲田大学入学後から期待のルーキーとして注目され、1年生から箱根駅伝を走りました。
初出走となった箱根駅伝2019では、1区を任され区間4位の活躍を見せます。しかし、本人としては不完全燃焼で、全ての力が出し切れなかった、不満の残る内容だったそうです。
2年生となって迎えた箱根駅伝2020では、再び1区で起用されると、区間6位の一桁順位で走り終えました。前年の反省を活かし、積極的に自分から仕掛けるレースができたようです。タイムも前年に比べて1分以上更新しており、その成長が記録にも出ています。
マラソン日本代表の大迫傑選手に憧れて、早稲田大学を選んだという中谷雄飛選手。夢の舞台である箱根駅伝での優勝だけでなく、その先にはトラック競技での活躍、さらにはオリンピック出場も見据えているようです。
2020年の調子や状態
箱根駅伝2021で早稲田大学がトップに食い込み優勝を狙うには、エース・中谷雄飛選手の活躍が欠かせません。
2020年2月頃は10000m28分27秒と、新シーズンに向けてさらなる成長を期待させていました。しかし、新型コロナの影響を受け、早稲田大学駅伝部は練習できない時期に入りました。夏合宿も、例年通りの形は早稲田大学から許可が出ず、所沢での合宿所での集中練習に対応を変えざるをえませんでした。
異例だらけの中でも、量をこなせないのを質で補い、練習を工夫して調整に励んでいたそうです。9月の日本インカレでは、各大学の主力選手が新シーズンに向けて調子を上げていきます。中谷雄飛選手も好記録が期待されていましたが、大方の予想に反し16位と低迷しました。
予想外の成績に中谷雄飛本人は、「理由が分からない」とかなり落ち込んだそうです。それでも下を向かず箱根駅伝2021に視線を戻した中谷雄飛選手は、10月に開催されたトラックゲームズで全く違った姿を見せます。
このレースで、中谷雄飛選手は10000m28分19秒27の自己ベストを更新。惜しくも終盤で青学・吉田圭太選手(4年)に追い抜かれたものの、3位でフィニッシュしました。記録は日本選手権参加標準記録を突破しており、さらに上のレベルに突入したことを示しています。
憧れの大迫選手の強さから日々学んでいるという、中谷雄飛選手。その強さの秘密はアメリカ合宿などの環境ではなく、目の前の練習の積み重ねにあることを知ったそうです。一見地味な練習の積み重ねが記録となって表れ、大きな自信となっていることでしょう。
今シーズンは、”強さ”をテーマに掲げている中谷雄飛選手。箱根駅伝2021では、早稲田大学の大エースとしてチームを牽引する走りが期待されています。
太田直希(3年)
選手としての特徴やキャラクター
エース・中谷雄飛選手と並び、早稲田大学駅伝部の2枚看板となっているのは、3年生の太田直希選手です。静岡県浜松市出身の太田直希選手は、浜松日体高校から早稲田大学に進学しました。
1年生、2年生と、すでに2年連続で箱根駅伝に出場している太田直希選手は、大舞台での経験も豊富です。1年生時の箱根駅伝2019では、復路8区を走り、区間12位。2年生時の箱根駅伝2020でも、再び8区で起用され区間9位になっています。
2年連続での箱根路でしたが、挑戦者の意識を強く持ち、全力を出し切ろうと挑んだのが好走に繋がったようです。攻める気持ちを強く出した結果、前年からタイムも1分近く短縮しました。
また、太田直希選手の兄は、2020年の春に早稲田大学を卒業したばかりの太田智樹選手(トヨタ自動車)です。二人の間は2学年離れており、箱根駅伝2019と2020では兄弟で箱根路を走りました。
太田家は陸上一家で、太田直希選手も兄と箱根駅伝に出場したいと思い、同じ早稲田大学に進学。兄弟共演の夢を実現させただけでなく、兄・智樹選手と同様に3年生にしてエース級の選手へと成長しました。
2020年の調子や状態
太田直希選手は2020年も好調をキープしており、箱根駅伝2021に向けて順調な仕上がりを見せています。
出雲駅伝が新型コロナの影響により中止となった結果、今シーズン初戦となった全日本大学駅伝。太田直希選手は中盤の4区で起用されると、区間新記録で区間2位となります。
序盤から好調な滑り出しを見せた早稲田大学は、3区のエース・中谷選手で総合1位になりました。さらに2枚看板の太田直希選手へとタスキを繋ぎ、4区でも総合1位をキープ。
しかし、後半からライバルの追い上げにあい、最終的には総合5位で大会を終えました。惜しくも優勝には届きませんでしたが、今シーズンの早稲田大学の軸である中谷選手と太田直希選手の2枚看板が機能したことは大きな収穫となったでしょう。
全日本大学駅伝の前に開催された10月のトラックゲームズでも、太田直希選手はその成長ぶりをアピールしています。10000mに中谷選手と出場した太田直希選手は、28分19秒76の自己ベストを更新。日本選手権への切符を手にし、順位も中谷選手に次ぐ4位でした。
太田直希選手と中谷選手は、上級生としてチームを牽引する走りを意識しています。お互いに切磋琢磨することが成長に繋がっており、試合の度に素晴らしいパフォーマンスとなって表れています。箱根駅伝2021では、太田直希選手にもぜひ注目して下さい。
鈴木創士(2年)
選手としての特徴やキャラクター
2年生からは、鈴木創士選手を紹介します。静岡県磐田市出身の鈴木創士選手は、浜松日体高校から早稲田大学に進学しました。
お気づきになった方もおられるかもしれませんが、早稲田大学2枚看板の一角である太田選手(3年)も浜松日体高校出身。鈴木創士選手とは高校時代から先輩後輩の関係で、共に練習していたそうです。
早稲田大学入学後の鈴木創士選手は、5月の関東インカレで周回遅れになるほろ苦デビューで大学生活をスタート。しかし、これがいい刺激になり、怪我を克服しながら前に進みました。
全日本大学駅伝では予選会から出場し、本大会でも6区で区間6位と、3大駅伝初出走で一桁順位の好走を見せます。
続いて、下級生も積極的に起用していく早稲田大学駅伝部の方針も追い風となり、1年生ながら箱根駅伝2020で初出走となりました。復路7区で起用された鈴木創士選手は大方の予想に反し、区間2位の激走で早稲田大学の総合7位に大きく貢献します。思わぬニューヒーローの登場は、予選会からの参加だった早稲田大学にとって大きな力になったのは間違いありません。
また、鈴木創士選手がタスキを渡したのは、高校時代からの先輩である太田選手。1年生の鈴木創士選手の活躍は太田選手を刺激し、チームにいい流れを作ったのです。
2020年の調子や状態
層の厚さが課題の早稲田大学駅伝部にとって、2年生・鈴木創士選手のさらなる成長はチームの躍進に欠かせません。
先日開催された全日本大学駅伝では、後半の7区で起用された鈴木創士選手。区間9位と一桁順位を獲得するものの、総合3位だったチーム順位は5位となり、トップとの差は縮められませんでした。
今シーズンの早稲田大学は、3年生の2枚看板に加え、4年生や新戦力の1年生などチーム全体の底上げに力を注いでいます。2年生にはいささかスポットが当たっていない印象ですが、10000mの自己ベストは28分48秒26の鈴木創士選手は、見逃してはならない実力者です。
箱根駅伝2020では大舞台での強さを見せ、経験も積んでいます。きっと、箱根駅伝2021でも力強い走りを見せてくれることでしょう。
1年生トリオ
最後は1名ではなく、今シーズンの早稲田大学の新戦力から、注目の1年生トリオを紹介したいと思います。辻文哉選手(早稲田実業高校/東京都)、菖蒲敦司選手(西京高校/山口県)、諸冨湧選手(洛南高校/京都府)は、箱根駅伝2021初出走が予想される、注目の新人です。
辻文哉選手は早稲田実業高校からの入学で、高校時代には10000m29分32秒36の早実歴代最高タイムを記録しました(関東高校駅伝での記録)。10月に開催されたトラックゲームズでは、1年生から1人だけ10000mに出場し、29分08秒11と自己ベストを更新(全体16位)。
監督からの評価も高いようで、辻文哉選手は全日本大学駅伝2020では1区を任されました。その期待に応え、3大駅伝初出走ながら区間新記録での区間6位と、レースの流れを作って見せます。
全日本大学駅伝には、さらに菖蒲敦司選手(5区9位)諸冨湧選手(6区8位)と1年生トリオ全員が出場し、揃って一桁順位を獲得。彼らの好走が、早稲田大学が総合5位となった大きな要因となりました。
また、菖蒲敦司選手と諸冨湧選手は10月に行われたトラックゲームズでは、5000mに出場。菖蒲敦司選手は14分15秒11(全体16位)でしたが、諸冨湧選手は自己ベストを更新する14分07秒20(全体12位)で大会を終えました。
5000m13分台は、速い選手の一つの目安です。諸冨湧選手も菖蒲敦司選手も、13分台まであと一歩というところまで来ています。
新型コロナにより異例づくしの2020年は、慣れない新生活の1年生にとっては、より難しいものです。その中でも成長している1年生トリオは、箱根駅伝2021での飛躍を目指す早稲田大学駅伝部にとって、頼もしい新戦力となっているでしょう。
以上、今回は早稲田大学駅伝部のメンバーと注目選手についてまとめてみました。
まとめ
- 早稲田大学は箱根駅伝歴代2位となる優勝13回の名門
- 瀬古さんら多数の名ランナーを輩出
- 近年は名門復活を目指すシーズンが続いている
- 今シーズンは3年生の中谷雄飛選手と太田直希選手の2枚看板が主軸
- 大エースの中谷雄飛選手はトラックゲームズで3位になった
- 太田直希選手は10000m28分台で走る早稲田大学のエース格
- 鈴木創士選手は1年生で区間2位になり早稲田大学の箱根駅伝シード権獲得に貢献
- 1年生トリオの辻文哉選手、菖蒲敦司選手、諸冨湧選手らにも要注目
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